「なぜ、うちの会社の新規事業は進まないんだ…」大企業で新規事業を担当するあなたは、そう悩んでいませんか?豊富なリソースがありながら、なぜか立ち往生してしまう。本記事では、もともと大企業の新規事業を何度も立ち上げて来た筆者が、その「壁」の正体と乗り越え方、そして成功への実践的なステップを、リアルな経験と国内外の事例に基づき徹底解説します。明日から使えるヒントがここにあります。
新規事業の立ち上げ方を網羅的に知りたい方は、こちらの記事が参考になります。

なぜ大企業の新規事業は「難しい」のか? 5つの構造的な壁
VUCA時代 と呼ばれる現代、既存事業の寿命は短くなり、多くの企業が持続的成長のために新規事業の開発に迫られています 。著名な経営学者ピーター・ドラッカーも「企業の目的は顧客の創造である」と述べ、新たな市場を開拓し続ける重要性を説いています 。しかし、特に大企業においては、潤沢なリソース を持ちながらも、新規事業の立ち上げが驚くほど難しいのが現実です。ドリームインキュベータの三宅孝之氏も指摘するように、数千億円規模の「経営の柱」となる新規事業は滅多に生まれず、多くは尻つぼみに終わってしまいます 。
では、なぜ大企業の新規事業はこれほどまでに困難なのでしょうか? その背景には、企業規模が大きいからこそ生じる、根深い「構造的な壁」が存在します。ここでは、私が大企業内部で新規事業開発リーダーとして直面した経験も踏まえ、代表的な5つの壁とその理由を解説します。
1: 意思決定の遅さと縦割り組織の弊害
大企業における最初の課題は、意思決定プロセスの遅さです 。新規事業は市場の変化に迅速に対応する必要がありますが、大企業では稟議プロセスが複雑で、多くの部門や役職者の承認が必要となり、結果として数ヶ月を要することも珍しくありません。私が担当したプロジェクトでも、有望なアイデアがありながら、承認を待つ間に競合に先行された苦い経験があります。
この遅さの根底には、部門最適化が進んだ「縦割り組織」の弊害があります 。各部門が自身のKPIや予算を優先するため、部門間の連携がスムーズに進まず、情報共有も滞りがちです 。新規事業は部門横断的な協力が不可欠ですが、この縦割りが大きな障壁となり、プロセス全体のスピード感を著しく損なうのです 。
2: 既存事業の成功体験と「見えない」バイアス
大企業を支えてきた既存事業の成功体験は、時として新規事業の足枷となります 。過去の成功パターンやビジネスモデルを無意識のうちに新規事業にも適用しようとしてしまい、新しい市場や顧客ニーズ とのズレが生じることがあります 。
クレイトン・クリステンセン氏が提唱した「イノベーションのジレンマ」 は、まさにこの状況を説明しています。既存顧客のニーズに応え、持続的イノベーションを進めることは合理的ですが、それが破壊的イノベーション(新規事業)への対応を遅らせ、結果的にスタートアップ企業などに市場を奪われる理由となるのです。また、既存事業とのカニバリゼーション(共食い) を恐れるあまり、有望なアイデアを自ら潰してしまうケースも少なくありません。自社の技術シーズ起点で開発を進めた結果、市場が求めていないオーバースペックな製品を生み出してしまう「技術オリエンテッドの罠」 も、このバイアスの一例と言えるでしょう。
3: リスク回避と短期成果主義の文化
大企業は安定性を重視する傾向が強く、失敗に対する許容度が低い文化を持つことが多いです 。新規事業は本質的に不確実性が高く、失敗のリスク が伴いますが、減点主義的な評価制度 の下では、担当者は大胆な挑戦を躊躇しがちになります。
さらに、株主への説明責任などから、短期的な成果(ROI) を求めるプレッシャーも強くなりがちです。しかし、新規事業が市場に浸透し、収益を生むまでには時間がかかります。この短期成果主義が、長期的な視点が必要な新規事業の育成を阻害し、「小さく生んで、大きく育てる」ことすら困難にしているのです 。
4: 新規事業に適した人材の不足と育成の難しさ
新規事業を推進するには、既存事業とは異なるスキルやマインドセットを持つ人材が必要です 。例えば、不確実性を恐れず挑戦する起業家精神、ゼロからイチを生み出すアイデア力、多様な関係者を巻き込むリーダーシップなどが求められます 。
しかし、大企業の安定した環境の中では、こうした人材は育ちにくく、また見つけ出すことも容易ではありません 。既存事業で優秀な人材が、必ずしも新規事業で成功するとは限りません。新規事業に適した人材の育成 や外部からの登用も課題となります 。
また新規事業を誰がやるかは非常に重要です。自発的に考えた事業ではなく、配置換えで新規事業を担当する場合は、新規事業を立ち上げる際の困難やカオスを乗り越えるのが難しい場合が多いです。
5: 社内政治とコミュニケーションの断絶
見過ごされがちですが、大企業における新規事業の成否に大きく影響するのが「社内政治」 です。新規事業は既存事業の組織やリソース配分に影響を与えるため、部門間の利害対立や、抵抗勢力が生まれやすい構造があります。
また、組織が大きくなるほど、部門間のコミュニケーションは希薄になりがちです 。新規事業のビジョンや進捗状況が社内に十分に共有されず、理解や協力が得られないまま孤立してしまうケースも後を絶ちません。私が関わったプロジェクトでも、技術部門と営業部門の連携不足から、せっかく開発した製品の市場投入が遅れた経験があります。この「見えざる壁」を乗り越えるコミュニケーション戦略 が不可欠です。
これらの「壁」は、大企業が持つ構造的な課題であり、新規事業担当者個人の努力だけで乗り越えるのは困難です。しかし、これらの壁の存在を認識し、その特性を理解することが、成功への第一歩となります。次の章では、これらの壁を乗り越え、大企業ならではの強みを活かして新規事業を成功させるための具体的な進め方を解説します。
スタートアップの不利な点
自由度があり、新しい世界を情熱をもって作り上げることができる反面、起業の成功率は低いというのが現状です。ではなぜ難しいのか?というところを大きく3つご紹介します。
①倒産のリスク
大手企業と違い、スタートアップは新しい事業が失敗すると、資金が底をつき、倒産する可能性が非常に高いです。大手企業ですと既存事業があるなかでの失敗なので、全体の財務のなかで吸収することができますが、スタートアップではそうは行きません。
場合によっては黒字倒産(赤字ではないのに資金繰りに失敗し倒産する)なんてこともあったりします。倒産全体の半分くらいが実は黒字倒産だと言われていたりします。下記記事が参考になります。
②リソースが少ない
リソースといっても様々です。例えば、技術リソースもそうですし、取引先や調達先との関係性も含まれます。あらゆるものを0から始めるというのはやはり遅れをとるという以外の何ものでもないので、それは明らかに不利な面です。
スタートアップは、あらゆることを0から始める中で、どうやってそれを急速に巻き返し、既存の事業者を追い越していくかという、一見不可能に近い戦いを挑む必要があります。それが難しくもあり、非常に面白くもあります。
③大きな資金へのアクセスが難しい
直近では日本も資金調達環境はだいぶ整って来たものの、やはり大きな資金へのアクセスに関しては不利です。私が大手企業で新規事業を立ち上げていたときの10名ほどのチームの予算は、当時まだ全く利益が出ていないにも関わらず30億円ほどあり、普通に考えてありえない規模だと思います。
ただ、名目次第で予算自体はつくのですが、資金がたくさんあるから絶対に成功するわけではないのが難しいところです。スタートアップは如何に少ない資金と短い時間で、成功確率を著しく上げる検証をし、それを元に資金を集め、大きな事業に対してアクセルを踏むかという、ヒリヒリする戦いが迫られます。
大企業ならではの強みを活かす!新規事業成功への5つのステップ
大企業の新規事業には多くの「壁」が存在しますが、一方でスタートアップ企業にはない圧倒的な強みも持っています。潤沢な資金力、確立されたブランド力、広範な顧客基盤、多様な人材プール、そして長年培ってきた技術やノウハウ こそが、大企業が新規事業で成功するための武器となります。
問題は、これらの「強み」をいかに新規事業に活かし、「壁」をいかに乗り越えるかです。ここでは、新規事業のアイデア創出から市場投入、そして成長までのプロセスを5つのステップに分け、各段階で大企業が取るべき戦略と具体的なポイントを、私の経験と成功事例を交えながら解説します。
Step 1: アイデア創出 -「眠れる資産」と「市場ニーズ」の交点を探る
新規事業の出発点は、有望なアイデア を見つけることです。大企業においては、自社内に眠る「資産」を棚卸しすることから始めるのが効果的です。
- 技術・特許: 活用されていない基盤技術や特許はないか?
- ブランド・信用: 長年築き上げてきたブランド力を活かせる分野は?
- 顧客基盤・チャネル: 既存の顧客や販売網を新しいサービスに活用できないか?
- データ: 蓄積された顧客データや業務データから新たなニーズ を発見できないか?
- 人材・ノウハウ: 社内の多様な専門人材 や暗黙知となっているノウハウは?
これらの「眠れる資産」 と、市場のニーズや社会課題 を結びつけることで、大企業ならではのユニークで実現可能性の高いアイデアが生まれます。
アイデア発想 のためには、以下のようなフレームワークの活用も有効です。
フレームワーク | 概要 | 大企業での活用ポイント |
---|---|---|
デザイン思考 (Design Thinking) | ユーザー視点で課題を発見し、解決策を創出する思考法。 | 既存顧客へのインタビューや観察を通じて、潜在的なニーズ やペインポイント を深く理解する。 |
SCAMPER法 | 7つの切り口(Substitute, Combine, Adapt, Modify, Put to other uses, Eliminate, Reverse/Rearrange)で既存の製品やサービスに変化を加える発想法。 | 自社の既存製品・サービス・技術を多角的に見直し、新たな用途や組み合わせ を探る。 |
5W1H (or 5W2H/6W3H) | What, Who, When, Where, Why, How (+How much, How many, Whom) でアイデアを具体化・深掘りする。 | 抽象的なアイデアを、具体的な事業コンセプトに落とし込む際に活用。「Why(なぜやるのか)」 を特に重視する。 |
PEST分析 | 政治(Politics), 経済(Economy), 社会(Society), 技術(Technology)の観点からマクロ環境を分析。 | 市場全体のトレンドや将来の変化を捉え、事業機会やリスクを特定する。 |
SWOT分析 | 自社の強み(Strengths), 弱み(Weaknesses), 機会(Opportunities), 脅威(Threats)を分析。 | 自社の「眠れる資産」(強み)と市場の機会を結びつけ、弱みや脅威への対策を考慮した戦略を練る。 |
市場調査 も不可欠です。Googleトレンド や業界レポート 、競合分析などを通じて、市場規模や成長性 、顧客ニーズ を客観的に把握しましょう。富士フイルム が写真フィルム事業で培った技術(コラーゲン、抗酸化技術など)を化粧品やヘルスケア分野に応用し成功した事例 は、自社アセットと市場ニーズを結びつけた好例です。
Step 2: 企画・計画 -「小さく試す」ためのリーンな事業計画と撤退基準
有望なアイデアが見つかったら、次は具体的な事業計画に落とし込みます。ここで重要なのは、最初から完璧な計画を目指すのではなく、「リーンスタートアップ」 の考え方を取り入れ、小さく試して、学び、素早く方向転換することです。
- ビジネスモデルキャンバス (BMC) : アイデアを9つの要素(価値提案、顧客セグメント、チャネル、顧客との関係、収益の流れ、主要活動、リソース、パートナー、コスト構造)で整理し、事業の全体像を可視化します。
- PoC (Proof of Concept / 概念実証) : アイデアの実現可能性や技術的な課題を検証するための小規模な実験を行います。大企業のリソースを活用しつつも、最小限のコストと時間で実施することがポイントです。
- KPI設定: 新規事業の初期段階に適したKPI(重要業績評価指標)を設定します。売上や利益だけでなく、顧客獲得数、エンゲージメント率、仮説検証の回数など、プロセスの進捗を示す指標も重要です。
- 撤退基準 (Exit Criteria) : 事前に「どのような状態になったら事業から撤退するか」という基準を明確に定めておくことが極めて重要です。これにより、サンクコスト(埋没費用)に囚われず、客観的な判断が可能になります。例えば、「PoCの結果、主要な仮説が〇つ以上否定された場合」「〇ヶ月以内にKPIが目標値の△%に達しない場合」といった具体的な基準を設定します。
Step 3: 社内承認獲得 -「共感」と「論理」で経営層を動かすストーリーテリング
新規事業担当者にとって最大の難関の一つが、社内承認 です。特に大企業では、多くのステークホルダーが存在し、承認プロセス も複雑です。経営層や関連部門のキーパーソンを説得し、予算やリソースを獲得するには、単なるアイデアの提示だけでは不十分です。
- ストーリーテリング: なぜこの新規事業が必要なのか(Why)、それが実現するとどのような未来が訪れるのか(Vision)、そして自社にとってどのような価値があるのか(Value)を、情熱を持って語るストーリーが重要です 。データやロジックだけでなく、聞き手の感情に訴えかけ、「共感」を得ることがポイントです。
- リスクと対策の明示: 新規事業の不確実性やリスク を正直に伝え、それに対する具体的な対応策(仮説検証プロセス 、撤退基準 など)を示すことで、経営層の不安を和らげ、信頼を得ます。
- 関係者巻き込み: 企画の初期段階から、関連部門のキーパーソンや影響力のある人物を巻き込み、意見を聞き、味方につけておくことが重要です 。根回しや非公式なコミュニケーションも時には有効です。
- 説得資料の工夫: 経営層が関心を持つであろうポイント(市場規模、収益性見込み 、既存事業への影響、競合優位性 など)を明確に示し、簡潔で分かりやすい資料を作成します。
Step 4: 実行体制構築 -「出島」と「連携」を使い分ける組織デザインと新規事業に即した評価基準
承認を得て、いよいよ実行フェーズです。新規事業を推進するためには、適切な組織体制 とチーム が不可欠です。大企業においては、既存組織の制約を受けずにスピード感を持って動ける「出島」 戦略と、大企業のリソースを活用するための「連携」 戦略を、事業の特性やフェーズに応じて使い分けることが重要です。
- 組織形態の選択:
- 独立部門/子会社化: 既存事業から完全に切り離し、意思決定のスピード と柔軟性を確保する方式。破壊的イノベーションに適しています 。ソニー の「Sony Startup Acceleration Program (SSAP)」 のように、社内起業家を支援する仕組みも有効です。
- プロジェクトチーム: 既存部門から人材を集め、期間限定で活動する方式。既存事業との連携が重要な場合に有効ですが、兼務によるリソース不足や意思決定の遅さが課題となりやすいです。
- 社内ベンチャー制度: 社員がアイデアを提案し、選抜されれば独立したチームとして活動できる制度 。リクルート などが有名です。 関連:[社内ベンチャー 制度 設計から運用までのポイントと注意点|アンカーテキスト例]
- 人材アサイン: Step 1で述べた新規事業に必要なスキル・マインド を持つ人材 を、社内外から集めます。熱意と当事者意識を持つリーダーの存在が成功の鍵です 。
- 新規事業に即した評価基準: 既存事業と同じ評価基準のなかだと新規事業チームは間違いなく評価が下がるので、いい人材を社内で募ることが難しくなります。新規事業に適した評価基準を策定し、魅力のある組織にする必要があります。
- 既存部門との連携: 「出島」を作る場合でも、大企業のアセット(技術、販売網、顧客データなど)を活用するためには、既存部門との連携 が不可欠です。連携プロセスや役割分担を明確にし、円滑なコミュニケーション を図る仕組み(例: 定期的な情報共有会、共通KPIの設定)が必要です 。
- オープンイノベーションの活用: 自社にない技術やノウハウ、市場アクセスを得るために、スタートアップ企業や大学、他の大企業など、外部との連携(オープンイノベーション )も積極的に検討します。日本郵政とYper社の「OKIPPA」 や、ライオンとNTTデータのDX推進提携 などが事例として挙げられます。
Step 5: 検証・改善・スケール -「学び」を高速化し「成長」へ繋げる
新規事業は、立ち上げて終わりではありません。市場に投入した後も、顧客からのフィードバックやデータを基に、仮説検証 を繰り返し、プロセスを改善し続けることが重要です。
- 仮説検証ループ: 「構築(Build)- 計測(Measure)- 学習(Learn)」のループ(リーンスタートアップ の基本)を高速で回し、製品やサービス、ビジネスモデルを継続的に改善します。
- PDCAサイクル: Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)のサイクル を回し、業務プロセスや戦略を継続的に見直します。
- ピボット判断: 検証の結果、当初の仮説が大きく間違っていた場合、事業の方向性を大胆に転換する「ピボット」の判断も必要になります。撤退基準 と同様に、ピボットの判断基準も事前に検討しておくことが望ましいです。
- AARRRモデル: 顧客獲得(Acquisition)、利用活性化(Activation)、継続(Retention)、紹介(Referral)、収益化(Revenue) の5つの指標で顧客行動を分析し、事業成長のボトルネックを特定し、改善策を打ちます。
- スケールアップ戦略: 事業が軌道に乗り始めたら、次の成長ステージ(スケールアップ) を見据えた戦略が必要になります。大企業のリソース(資金、販売網、ブランド力など)を最大限に活用し、一気に市場シェアを獲得することを目指します。ただし、大企業におけるスケールアップには特有の難しさ(例: 既存事業との調整、組織の硬直化) があり、それを乗り越えるための工夫が必要です。
- 失敗からの学習: 失敗 は避けられないものと捉え、その原因を分析し、教訓を組織全体で共有し、次の挑戦に活かす文化と仕組みを構築することが重要です 。
【事例研究】成功と失敗から学ぶ、大企業の新規事業リアル
理論やプロセスを学ぶことも重要ですが、実際の企業がどのように新規事業に取り組み、どのような結果を得たのかを知ることは、何よりの学びとなります。ここでは、国内外の大企業による新規事業の成功事例と、そこから見えてくる「勝ちパターン」、そして多くの企業が陥りがちな「失敗の落とし穴」について、具体的に分析・考察します。
成功事例に共通する「勝ちパターン」とは?
数々の成功事例 を分析すると、いくつかの共通する成功要因、すなわち「勝ちパターン」が見えてきます 。
- 自社アセットの徹底活用: 成功している企業は、自社が持つ独自の強み(技術、ブランド、顧客基盤、ノウハウなど) を的確に把握し、それを新規事業に最大限活用しています。富士フイルム の化粧品事業や、ヤマト運輸 の配送網を活かした家電修理サービスなどが典型例です。
- 強いリーダーシップと経営層のコミットメント: 経営トップが新規事業の重要性を理解し、強いリーダーシップを発揮して推進しているケースが多く見られます。Honda の航空機事業「HondaJet」 は、創業者の夢と経営層の長期的なコミットメントがあってこそ実現しました。
- 失敗を許容し挑戦を奨励する文化: 新規事業には失敗 がつきものです。成功企業は、失敗を責めるのではなく、挑戦そのものを評価し、そこから学ぶことを奨励する文化を持っています 。リクルート の社内ベンチャー制度はその好例です。
- 顧客中心主義と徹底した市場理解: 常に顧客のニーズ やペインポイント を起点に考え、市場の変化 を敏感に捉え、製品やサービスを改善し続ける姿勢が重要です 。DeNA の多様なサービス展開は、顧客ニーズへの対応力の表れと言えます。
- 適切な人材登用と権限委譲: 新規事業に適した人材 を見極めて登用し、彼らに十分な裁量と権限を与えることが、スピード感と当事者意識を生み出します 。
失敗事例から学ぶ「避けるべき落とし穴」
一方で、失敗 に終わる新規事業にも共通するパターンが存在します。これらは、大企業が陥りやすい「落とし穴」と言えるでしょう。
- 市場ニーズの軽視: 自社の技術やアイデアに固執するあまり、顧客が本当に求めているもの を見誤るケース 。
- 既存事業の論理の持ち込み: 既存事業の評価基準やプロセス をそのまま適用し、新規事業の芽を摘んでしまう 。
- 意思決定の遅延とタイミングの逸失: 複雑な承認プロセス や部門間の調整に時間を費やし、市場投入の最適なタイミングを逃す 。
- コミットメントの欠如: 経営層や担当者のコミットメントが中途半端で、困難に直面するとすぐに諦めてしまう。
- リソース不足: 口では重要と言いながら、実際には十分な予算や人材 を投入しない 。
- 撤退基準の不在: 明確な撤退基準 がなく、成果が出ないままズルズルと事業を継続し、損失を拡大させてしまう
FAQ:大企業の新規事業に関するよくある質問
ここで、大企業の新規事業に関して、担当者や経営層の方々からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
まとめ:明日からできる、大企業で新規事業を動かす最初の一歩
大企業における新規事業は、多くの「壁」が存在する一方で、それを乗り越えれば大きな成功を掴むポテンシャルを秘めています。本記事では、その課題と成功へのポイントを、具体的なステップと事例を交えて解説しました。重要なのは、大企業特有の課題を認識し、それを前提とした戦略を立てること、そして自社の強みを最大限に活かすことです。この記事が、あなたの会社の新規事業を前進させるための一助となれば幸いです。まずは、自社の「眠れる資産」の棚卸しから始めてみませんか?
大企業の新規事業推進、その難しさを実感されていませんか? 経験豊富な専門コンサルタントが、貴社の状況に合わせた具体的な戦略立案から実行までを伴走支援します。まずは現状の課題について、お気軽に無料相談ください。
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